毎日新聞・6月18日付朝刊「今日のイチオシ!」 コンテンツ編成センター長・中村寧

【原発事故 国の責任否定 避難者訴訟で最高裁が初判断】福島第1原発事故で避難した住民ら約3700人が国と東電に損害賠償を求めた4件の裁判の判決で最高裁は17日、国の責任を認めない初の統一判断を示しました。事故前の想定津波に基づいて東電に防潮堤を建設させていても、東日本大震災の津波による原発事故を防ぐのは困難だったと結論付けました。これまでに全国の裁判所が出した1審、2審判決は12件が国の責任を認めた一方、11件は責任を否定し司法判断が割れていました。今後の判決は今回の最高裁判例に沿って出されることになります。

 古里を奪った原発事故を防げなかった責任の明確化を求めてきた全国の原告や支援者の間には怒りと落胆の声が広がりました。しかし、判決は法律による責任認定の限界を示したに過ぎず、国の原発規制のあり方に問題が無かったと言っているわけではありません。国は判決を「免罪符」とせず、あらためてフクシマの悲劇を繰り返さないという誓いを肝に銘じるべきです。

 

12版から1面、3面、社会面)