毎日新聞・8月7日付朝刊「きょうのイチオシ!」      編集編成局次長・平地修

【「迫る」津嘉山さん沖縄朗読劇 語る「戦世」きっと伝わる】

 週末の大型読み物「迫る」。今回は太平洋戦争末期の悲惨な沖縄戦をテーマにした一人語りの朗読劇を続ける沖縄出身の俳優、津嘉山正種さん(78)に迫りました。沖縄戦当時1歳だった津嘉山さんは母親から「あんたが泣き虫じゃなかったから、生きてこられたんだよ」と言われて育ちました。 沖縄戦では、米軍から逃げる際に泣き声で気づかれるとして赤ん坊が日本兵によって殺されたからです。

 

 20歳で上京した際には沖縄出身者に対する差別に直面しました。長い下積みを経て演技派としての地位を確固たるものにした津嘉山さんが一人語り「沖縄の魂」シリーズを始めたのは60歳を過ぎてから。米軍基地問題にも声を上げ、「なぜ許してはいけないことが沖縄だけで許されているのか」と、これからも沖縄を語り続けます。