毎日新聞・9月11日付朝刊「今日のイチオシ!」 デジタル編集本部次長・小坂大

【避難指示解除の福島・双葉町と大熊町 変わりゆく古里への思い】

 

日曜紙面「迫る」では福島第1原発事故の影響による避難指示が一部地域で解除された福島県双葉町と大熊町の住民の思いを伝えます。双葉町では戻りたいと強く思っていた男性を訪ねました。実際に暮らしてみると、町には何もなく、周囲には誰もいませんでした。最近、よく夢を見ると言います。「仲間と働いて、酒を飲んで、釣りに行った若い頃の夢をね。あの頃みたいに戻らないかなあ」。

 

大熊町のJR大野駅前で100年近く続いた雑貨店の3代目だった女性は、再開発事業のため、店の建物が解体されてしまいました。今は4代目として町内の別のエリアに出店した次女、店を手伝う長女の3人で店番をこなしています。元の場所に戻れるとは思っていませんが「やっぱり地元はいいところだもの」。帰還者や移住者を増やすため国や自治体は復興を急いでいますが、変わりゆく古里を複雑な思いで見つめる人々の胸の内を取材しました。(12版から1、3面)