毎日新聞・12月10日付朝刊「今日のイチオシ!」 コンテンツ編成センター長・中村寧

【岸田政権譲歩重ね、臨時国会閉会へ】

 臨時国会が10日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けた被害者救済法案を成立させて閉会します。会期中に閣僚3人が不祥事で相次いで辞任する「辞任ドミノ」に見舞われた岸田政権。当初は来年以降に提出予定だった悪質献金を規制する法案の成立を今国会で目指すという荒業を繰り出しました。狙い通りに野党は終盤国会で不祥事追及より救済法案審議を優先する姿勢に転じ、国会全体が対決から協議モードに移行。会期延長をせず国会を閉じることに成功しました。

 しかし、野党が矛を収めたわけではなく、復興相の政治献金問題や政務官による過去の差別発言など追及材料には事欠きません。当初予算案編成や安保3文書の改定、税制改正など年末年始は大型の政治日程が目白押しで、1月に開会する通常国会の行方は予断を許しません。4月の統一地方選は物価高や旧統一教会との関係で自民党に逆風が吹く可能性もあります。地元・広島で5月に開かれるG7サミットという晴れ舞台を前に政権の難局は続きそうです。

 

12版から2面)