毎日新聞・1月6日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長・木戸哲

【過労死ライン未満でも労災認定を】

 

炎天下の建築現場で5年前に突然倒れて亡くなった男性(当時44歳)の遺族が近く、国に労災認定を求める民事裁判を大阪地裁に起こします。労働基準監督署は、男性の時間外労働が月平均80時間の「過労死ライン」に達していなかったとして遺族の申請を退けた経緯があります。一方、厚生労働省は2021年に労災認定の基準を20年ぶりに改定、過労死ラインで線引きせず、作業環境や連続出勤に伴う身体的な負荷も総合的に評価することを明記しました。調査中のケースについてもこの新基準を踏まえて対応することを求めました。遺族の訴えを踏まえ、新基準に基づいて労災を認定するのか。司法の判断が注目されます。(12版から社会面)