【つながった二人の縁 「手紙」震災28年の物語(上)】
熊本市に住む佐武伸行さん(56)は1995年1月17日の朝、テレビで阪神大震災の発生を知り、神戸市東灘区に住んでいた5歳の頃に知り合った3歳年上で20年来の友人、佐野博さん(当時31歳)に「もし何かあれば協力させてほしい」と手紙を送りました。すると佐野さんの姉から電話が来ました。「はじめまして。博は亡くなりました」。姉の常岡美和子さん(73)と佐武さんは手紙のやり取りを通じて佐野さんの思い出を語り、交流を深めました。佐武さんは2002年、佐野さんが亡くなった自宅の跡地を訪れ、静かに手を合わせました。6434人が犠牲になった阪神大震災。大切な人を失った家族の人生はその後も続きます。「手紙」では震災で生まれた縁を紡ぐ28年の物語を伝えます。(12版から社会面)