毎日新聞・1月18日付朝刊「今日のイチオシ!」 コンテンツ編成センター長・中村寧

【中国人口61年ぶり減少 出生数初の1000万人割れ】

 2022年末の中国の総人口は141175万人となり、21年末に比べて85万人減少しました。中国で人口が減るのは多くの餓死者が出た1961年以来61年ぶりです。22年の出生数は前年から106万人減少して956万人と1949年の建国以来初めて1000万人を下回りました。

 中国政府は79年から続けていた「一人っ子政策」を見直し、段階的に産児制限を緩和してきましたが、教育費など育児にかかる費用の高騰や、男児を尊ぶ伝統による男女の人口比のゆがみなどで少子化に歯止めがかかりません。さらに「ゼロコロナ政策」による景気低迷が拍車をかけました。

 人口減少の段階に入ったことにより、経済成長を支えてきた豊富な労働力に陰りがみえ、高齢化の進行で社会保障費の増大が避けられないなど、世界第2の経済大国は重い課題を突きつけられています。中国国内では「未富先老」(豊かになる前に老いる)の危機感が強まっています。

 

12版から1面、3面)