毎日新聞・2月17日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長・草野和彦

【日銀人事/首相の本音】政策の一貫性のなさが指摘される岸田文雄首相ですが、定期的に意見交換をしているという男性は証言します。「金融・財政政策への危機感は首相就任以来、一貫している」。首相が危機感を抱いていたのは、安倍晋三元首相が掲げた「アベノミクス」の中核=日銀による異次元の金融緩和策です。これによって安易な国債発行が増え、財政悪化に歯止めがかからなくなっていると考えたのです。首相が日銀新総裁に選んだのは経済学者の植田和男氏。就任すれば戦後初の学識経験者の総裁です。日銀の総裁交代は、アベノミクス路線見直しの大きなきっかけになる可能性があります。

 

 さらに首相は、日銀の金融政策を決める計9人の政策委員会からアベノミクス色を排除する人事も進めてきました。日銀人事を通してみえてきた首相の本音に迫りました。(12版から1、3面)