毎日新聞・3月11日付朝刊「きょうのイチオシ!」    編集編成局次長・平地修

【記憶をつなぐ獅子風流 東日本大震災12年】

 

宮城県石巻市の漁師町、荻浜地区に一つずつある小中学校が今春、ともに閉校します。2011年3月の東日本大震災で同地区では27人が犠牲になり、331世帯中232世帯の家屋が全壊・流出しました。荻浜の子どもたちは「獅子風流(ししふり)」と呼ばれる、この地に伝わる伝統行事を通じて震災の記憶をつむいできました。震災発生間もない11年5月には子どもたちが地区を巡り獅子風流を舞い、自分たちも大人たちも励ましました。児童生徒数の減少によって地区から学校はなくなりますが、地元の漁師は「まいた種が成長していく」と荻浜を巣立った子どもたちが再び古里へ戻り、舞い続けてくれると信じています。(12版から社会面)