毎日新聞・3月14日付朝刊・今日のイチオシ!  編集編成局次長・猪飼順

【袴田事件・東京高裁差し戻し審 再審認める】

 一度は閉じかけた再審の扉が、再び開かれた――。1966年に静岡市(旧静岡県清水市)で一家4人を殺害したとして死刑が確定し、2014年に静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌元被告(87)の再審請求差し戻し審で、東京高裁は13日、再審開始を認めました。釈放前から東京拘置所内の巌さんを支援し、釈放後も同居して寄り添ってきた姉の秀子さん(90)は「この日が来るのを待っていました。ついに来ました」と喜びをかみしめました。

 

 巌さんに静岡地裁が死刑を言い渡したのは50年以上前の68年。それから間もなく、姉弟の母で巌さんの無実を訴えてきた母ともさんが他界し、「私がやるしかない」と決意した秀子さん。今回の高裁決定に対し検察側が特別抗告した場合、再審請求の舞台は再び最高裁に移ることになります。「それでも負けないで頑張ってまいります」と語気を強めた秀子さん。表情が明るくなってきたという巌さんの最近の様子もまとめました。(12版から1、3面、社会面)