毎日新聞・4月6日付朝刊「今日のイチオシ!」 コンテンツ編成センター長・中村寧

【トランプ氏34件で起訴、全て無罪を主張】

 米ニューヨーク州の大陪審に起訴されたトランプ前大統領が4日、ニューヨーク市内の裁判所に出廷しました。トランプ氏は2016年の大統領選前に、不利な情報を隠すために不倫の口止め料を支払ったことなどをめぐり、業務記録を改ざんしたとされています。訴因の数は34件で、トランプ氏は全てで無罪を主張しました。

 米大統領経験者が刑事事件の被告になるのは初めてです。検察側は大統領選を有利に進めるためにスキャンダルのもみ消しを図ったと見て犯罪の立証に自信を見せています。トランプ氏は起訴を「政治的動機に基づく」と訴え、立候補を予定している24年の大統領選に向けて支持者の結束を図っており、裁判が大統領選の行方に大きく影響するのは確実です。

 裁判所の前には数百人の支持者が詰めかけて起訴に抗議する一方、反トランプ派も「彼を拘束せよ」と気勢を上げ、両派の間に小競り合いも発生するなど、米国社会の「分断」を象徴する形になりました。

 

12版から1面、3面、国際面)