毎日新聞・5月2日付朝刊「今日のイチオシ!」 コンテンツ編成センター長・猪飼順 【米中堅のファースト銀行破綻 JPモルガンが買収】

米連邦預金保険公社(FDIC)は1日、経営難に陥った全米14位の中堅銀行ファースト・リパブリック銀行(本店・カリフォルニア州)が経営破綻したと発表しました。FDICが一時的に管財人となり、ほぼ全ての資産と預金を米最大手のJPモルガン・チェースが買収します。米銀の破綻は今年3行目で、リーマン・ショック後では最大規模となります。

 FDICは週末に、ファースト銀の全ての資産、預金の競争入札を実施し、最終的にJPモルガンと売買契約を結びました。ファースト銀の全84店舗は1日からJPモルガンの支店として営業する。住宅ローンや商業ローンもJPモルガンが引き継ぐ。大手銀による買収を同時に発表し、市場の不安抑制を図った形ですが、3月のシリコンバレー銀行破綻に始まった金融不安を沈静化できるかどうかは不透明です。

 

 シリコンバレー銀行など中堅2行の経営破綻を受け、財務基盤の弱いファースト銀の連鎖破綻を避けるため、米大手11行が経営支援のため計300億㌦(約4兆円)をファースト銀に預金したことで経営不安はいったん沈静化。ところが、4月24日のファースト銀決算発表で3月末時点の預金残高が昨年末から4割以上減っていたことが判明し、経営不安が再燃していました。(1面、経済面)