毎日新聞・5月7日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長 堀雅充

【宗教法人のネット売買横行 節税うたい脱法ビジネス】

 本来、営利を目的としないはずの宗教法人が、インターネット上では「税制優遇」をうたい文句に、公然と売り買いされています。宗教法人は、境内には固定資産税が課されず、法人税もありません。さい銭やお布施などの収入も非課税です。一般企業のように「不動産販売業」や「旅館業」など34業種の収益事業を営む場合は課税対象になりますが、税率は優遇されます。宗教法人の活動は公益性があると考えられているためです。

 この優遇制度をビジネスや節税対策に使おうと考える人がいるのです。仲介ビジネスをしている男性によると、宗教法人は、数千万円程度で売り買いされることが多く、仲介手数料として双方から売買額の数%程度をもらうなどしているといいます。「多数のラブホテルを経営している宗教法人もある。事業をするなら、普通の会社を作るより宗教法人でやった方が絶対に得だ」と打ち明けました。

 

 こうした取引に対し、文化庁は「利益目的の宗教法人売買は認められていない。脱法行為だ」との見解を示していますが、売買が横行しているのが実態です。記事ではその理由や背景についても迫りました。(社会面)