大阪市で4月、新設の国際女子テニス大会「大東建託オープン」が開かれました。プロテニスツアーの下部大会の運営の指揮を執ったのは伊達公子さん(52)。日本人で初めて女子シングルスの世界ランキング4位になったテニス界のレジェンドです。伊達さんが世界4位になった1995年は、日本女子テニスの全盛期だった。開幕中に阪神大震災が発生した4大大会の全豪オープン。シングルスの本戦128人中、日本女子は伊達さんを筆頭に史上最多の11人が出場しました。それから27年後の2022年6月。伊達さんが発起人になり、過去に女子テニスの世界50位以内に入った元選手で後進を育成する一般社団法人「Japan Women’s Tennis Top50 Club」(JWT50)を創設しました。
世界100位以内に現在、日本人はいない。「日本から強い選手が育ってほしい。自分たちの経験を次世代に伝えることが、大切な要素になるんじゃないか」。伊達さんは元世界8位の杉山愛さん(47)らに声を掛け、ジュニア育成に本格的に取り組んでいます。活動の柱の一つに据えたのが大会設立で、大東建託オープンを手始めに23年、国際テニス連盟(ITF)公認のツアー下部大会を国内に六つ作りました。
伊達さんの1学年下の元プロ選手で、高校総体で初めて対戦した36年前から「天才」と評するしかない彼女の姿を一歩後ろで見つめてきた記者が、伊達さんの足跡と情熱を描きます。