【「自由診療」望み懸け 栃木の末期がん患者/不安社会―健康情報の代償】がんが転移し、抗がん剤も思うように効かない男性は、自ら見つけてきた「自家がんワクチン療法」を受けることにしました。「がん組織と免疫刺激剤を混ぜたワクチンを投与することで、がんに対抗する免疫を体内に作り出す」といいます。男性は3回の注射を受けましたが、最初の受診から4カ月後に息を引き取りました。この治療法は、質の高い科学的な根拠に基づく「標準治療」とは認定されておらず、公的な医療保険の対象にならない「自由診療」でした――。体に関する不安が振り払えない時、世間にあふれる健康情報に頼り、冷静な判断ができなくなる例が後を絶ちません。そんな現代の背景に迫る企画「不安社会」の第1回です。(1、3面)