毎日新聞・7月19日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長 麻生幸次郎

【鳴り響く軍歌とロック/リゾート地 戦時と日常共存】バルト海に面してロシア本土からは飛び地となっているカリーニングラード州に記者が入りました。避暑地としてにぎわう街では、「敵はそこまでやって来て、ロシアの全てを壊し、征服しようとしている」といった歌詞の曲などを軍楽隊が奏でるコンサートが開かれていました。一方で翌日にはロックバンドの演奏に夢中で踊る人々の姿がありました。軍事色の強い光景と以前と変わらぬ日常が、街には共存しています。

 

ウクライナに対する「特別軍事作戦」に関する世論調査では、ロシア市民の7~8割が作戦を支持しています。人権活動家は「多くが真意を明かさずに、望まれているように答えている」と分析し、政権に近い評論家は「社会が結束している結果だ」とみています。侵攻500日を過ぎたロシア。つかみづらいその市民感情を、飛び地の観光地の光景を通して考えました。