【迫る/ナチスから逃れた12歳】第2次世界大戦中、ポーランド領だった村で暮らしていた12歳のユダヤ人の少女がいました。進軍してきたナチス・ドイツから逃れるため、少女は家族と一緒に森の中に隠れ、そこで終戦までの約3年間を過ごしました。
筆舌しがたい体験は成人した後も心的外傷後ストレス障害(PTSD)として表れ、彼女を苦しめました。ですが、当時のことを7年かけて200ページの本にまとめあげた結果、「心が落ち着いた」といいます。本を書くことは、人生の「物語」を再構築する作業でもあったのです。
93歳となった少女は今、28人の子孫に恵まれています。まさに命を守りつないだ人生でした。ユダヤ人の絶滅を図ったナチスに対する「真の勝利」。本の結びでこう書くことができるまでになった彼女の人生に迫ります。(12版から1面と3面)