毎日新聞・12月7日付朝刊「今日のイチオシ!」 東京本社経済部長 秋本裕子

【公安 立件方向にねじ曲げ/外為法違反/東京地検 捜査に疑念/起訴取り消し内部文書】

 軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された問題で、東京地検が2021年7月、警視庁公安部に起訴取り消しの方針を伝えた際のやり取りを記録した警察の内部文書を毎日新聞が入手しました。地検は、公安部が法令解釈を「意図的に、立件方向にねじ曲げた」と裁判官に捉えられるリスクがあると指摘し、公判を維持できないと通告していました。

 

 この問題を巡っては、違法な逮捕・起訴があったとして同社が国家賠償訴訟を東京地裁に起こし、捜査に携わった現職の警視庁警部補が23年6月の証人尋問で、事件を「捏造」と証言する極めて異例の事態となっています。文書からは、地検が公安部の捜査を恣意的と疑って起訴判断を見直したことがうかがえます。(一、三面)