毎日新聞・3月7日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長 麻生幸次郎

【「面倒」姿消した男性/赤ん坊死体遺棄 女性だけ罪問われ】「自分がしっかりしていなかった」。出産した赤ん坊の遺体を隠したとして罪に問われている女性(28)は、そう悔います。「面倒なことになったと思った」。赤ん坊の父親とされる男性は、そう振り返ったと言います。父親は妊娠が分かると「本当に俺の子なのか」と疑い、中絶費用の「金なんか払わないよ」と言って姿を消したといいます。自殺まで考えたという女性との格差――

 

こども家庭庁の統計によると、2022年までの10年間に虐待で死亡した生後0日の赤ん坊は176人にのぼり、母親の165人が虐待の加害者とされた一方で、年齢を把握できた父親は43人にとどまります。8日の国際女性デーへ向けて、妊娠、出産への負担が女性に大きく偏る社会の現状を問います。(一面、社会面)