毎日新聞・6月16日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集局次長・堀雅充

【空襲補償拒む「受忍論」/民間人被害者たちの闘い】

 「民間人空襲被害者は今も救済されていません」「皆さんにもふりかかってくる問題です」。2019年4月から国会会期中の毎週木曜日正午から1時間、東京・永田町の衆院第2議員会館前でリーフレットを配っている人たちがいます。先の戦争の空襲で家族を失った遺族です。

 

 戦後、軍人や軍属には恩給が、その遺族には年金が支払われてきましたが、空襲で被害を受けた一般市民への補償はありません。裁判を起こしても、立法を通じて解決すべき問題とする「立法裁量論」や、国民全体が我慢すべきという「受忍論」で退けられてきました。立法を担う国会議員の動きや、訴えを続ける遺族の思いに迫りました。(一、三面)