毎日新聞・6月25日朝刊「今日のイチオシ!」編集局次長 木村哲人

【「死にゆく」死海 60年で面積3分の2 / 水と戦争】

 中東に地上で最も標高が低い場所があります。死海です。イスラエルとヨルダン、パレスチナ自治区に挟まれたこの湖は、海水の約10倍の塩分を含み、水に入ると簡単に体が浮かびます。世界的な知名度をほこる観光名所ですが、圧倒的な水不足により縮小を続けていることはあまり知られていません。死海の研究を続けるヨルダン大の教授によると、1960年代から水位の低下が始まり、現在も年間1㍍以上のペースで下がっています。死海はなぜ小さくなっているのでしょうか。背景にあるのは、流域国によるし烈な水資源争いです。

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