毎日新聞・8月23日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集局次長・堀雅充

【処理水放出、24日で1年/トラブル後を絶たず/中国の水産物禁輸続く】

 東京電力が福島第1原発にたまる処理水の海洋放出を始めてから24日で1年になります。周辺海域のモニタリング結果に異常はなく、放出は着々と進み、放出に伴う福島県産品の買い控えなどの目立った風評被害は国内では起きていません。

 処理水などをためるタンクは敷地内に1046基あり、まだ約96%が埋まっています。東電は、放出で空いたタンクを2025年1月から順次解体して撤去する計画で、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出すための敷地に転用する方針です。しかし、敷地内では水処理を巡るトラブルが後を絶たず、廃炉を担う東電の資質に疑問符も出てきています。

 また、海洋放出に伴う損害賠償は難航しており、放出に反発する中国は日本産水産物の禁輸を続けています。課題山積の現状を深掘りしました。(1、3、社会面)