毎日新聞・9月10日付朝刊「今日のイチオシ!」 統括社会部長 長谷川豊

【長崎被爆体験者15人を被爆者と認定/長崎地裁/救済範囲は限定し29人は認めず】

 

 長崎の爆心地の東西約7~12㌔で原爆に遭いながら国が指定した地域外だったとして被爆者と認められていない被爆体験者44人が判断の変更を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は9日、爆心地の風下に位置する旧3村にいた原告15人を被爆者と認め、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を命じました。従来の判断を変更した、「黒い雨」が降った地域の原告を被爆者としました。一方、それ以外の地域の原告も灰などを含めた広範囲に拡散した放射性降下物の健康影響が否定できないことを訴えましたが、判決はこうした主張を認めず、残りの29人の請求を退けました。原告は分断される形となり、認定された人たちも「自分だけでは喜べない」と話しています。国の対応にも注目が集まります。(1、3、社会面)