毎日新聞・9月28日朝刊「今日のイチオシ!」編集局次長 木村哲人

【自民総裁選 / 石破氏 薄氷の逆転劇】

 過去最多の9人が出馬し、異例の混戦となった自民党総裁選が27日投開票され、決選投票で石破茂元幹事長が逆転勝利を収めました。決選投票は、高市早苗経済安全保障担当相とわずか21票差でした。何が勝敗を分けたのでしょうか。

 石破陣営にとって、1回目の投票結果は「誤算」でした。陣営は1回目の党員・党友票(地方票)で首位に立ち、総裁となる正統性を示すことで決選投票を優位に進める狙いでした。地方票の開票が進んでいた27日昼。石破氏の壮行会で、選対本部長を務める岩屋毅元防衛相は「石破氏がトータルで1位になることは確実だ」と自信を見せていました。しかし、ふたを開けると、優勢とみられていた地方票は1票差で高市氏の後じんを拝し、議員票に至っては26票の差をつけられる状況でした。(3面)