【万葉人の悲しみ 人形に託し/無名の永瀬卓さん企画展】透き通るような白い肌、肩から垂らされた細い髪。その目は何かを思い詰めるように、じっと前を見据えている――。古代史上の悲劇のプリンスとして知られる有間皇子をモデルとした人形は、中学校の元美術教師が制作しました。自宅アトリエにしまわれていた作品群は、2年ほど前にツイッターで紹介されるや多くの人々の心を打ち、2万人を集める企画展が催され、突如として世に出ました。「私の人形には幸せな人は見当たりません」。退職後に独学で人形作りを始め、今76歳の作者は何を思い制作しているのか、なぜ多くの人をとらえるのか。専門記者が追いました。(一、三面)