【三島由紀夫の未発表書簡見つかる/「金閣寺」の構想過程明らかに/「空白埋める貴重な資料」】
作家・三島由紀夫の代表作「金閣寺」の最初期の構想を記した未発表書簡が見つかりました。作品発表前の1955年に編集者に宛てたものです。従来は50年の京都・鹿苑寺の金閣放火事件を題材に小説が構想されたと考えられていましたが、書簡には事件を想起させる言及はありません。書簡を分析すると、三島は人間の存在自体が病ではないかという思いを深めてコンプレックスを持つ男性を主人公と設定し、小説の構想を具体化する素材を探す中で放火事件に注目した創作過程が浮かんできます。金閣は55年10月に再建されており、専門家は「この話題をきっかけに事件に思い至り、一気に(作品に)結晶したのではないか」と推測しています。(1面、社会面)