毎日新聞・1月10日朝刊「今日のイチオシ!」 統括社会部長 長谷川豊

【阪神大震災30年/避難所運営は今も市町村任せ/法律で定める県の姿見えず】

 大災害に見舞われた時に住民支援にあたる行政などの役割分担は明確でしょうか。災害救助法は、大規模な災害が起きた際は避難所の運営や食料・物資の供給、医療などの活動の主体は都道府県と定め、活動の一部を市町村に委託できることになっています。

しかし2024年元日の能登半島地震の被災地となった石川県の市町では「避難所の運営で県が助けてくれない」といった声が出ていました。毎日新聞が全国の都道府県に取材すると、避難所運営で市町村や政府との窓口になる支援班の設置を定めているのは14都道県にとどまっていることが明らかになりました。支援班に関する規定がない府県の担当者は「避難所の運営は一義的には市町村の仕事」と釈明しますが、内閣府は「法律の精神は都道府県が主体になる」とします。17日で阪神大震災の発生かえら30年となります。災害時の住民支援の課題を探りました。(1、3面)