毎日新聞・2月12日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集局次長・堀雅充

【移民と社会/福祉の国・デンマークで進む「非西洋人」の強制移住政策】

 リベラルで福祉が手厚いというイメージが強いデンマークで、「非西洋人」を強制移住させる政策が進められています。移民に対して寛容だった国はなぜ、「欧州で最も厳格な移民政策を手がける国」に変貌したのでしょうか。

 大きく風向きが変わったのは2001年以降。議席を増やした極右政党の「デンマーク国民党」が中道右派主導の政権に閣外協力をするようになってからでした。デンマークは多党制で、連立や閣外協力は欠かせないため、移民審査の厳格化などが進みました。シリアやアフガニスタン、アフリカ各国などから計100万人以上の難民・移民が欧州に押し寄せた15年の「欧州難民危機」もデンマーク社会に大きな衝撃を与えました。

 強制移住の政策はこうした状況下で18年にスタートしました。19年に中道左派の社会民主党が政権を奪取した後も厳しい移民政策は続いています。

 記事では、実際に移住させられた人たちの思いや政権の思惑、現地社会の受け止めなどを詳しく紹介しています。(1、3面)