毎日新聞・2月17日付朝刊「今日のイチオシ!」編集局次長 井上俊樹

【これってわがままですか? 障害者差別を考える】東京・渋谷の居酒屋を訪れた全盲の会社員男性(41)は、スマートフォンでQRコードを読み取ってメニュー画面から注文するよう求められました。男性は「口頭で注文してもいいでしょうか」と何度も要望しましたが、店員は「携帯からお願いします」と同じせりふを繰り返したといいます。

 2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者にも「合理的配慮」が義務化されました。しかし、社会のICT化や無人化が進む中、障害のある人が街のあちこちで不便を強いられています。毎日新聞が障害者団体などと一緒に障害者に実施したアンケートでは、ICT化や無人化で困った経験のある割合は6割で、視覚障害者に限ると8割を占めました。男性は「障害の有無にかかわらず、誰でも好きな場所に行き、同じサービスを受ける権利があるはずだ」と訴えます。(1、3面)