毎日新聞・3月5日付朝刊「今日のイチオシ!」編集局次長 井上俊樹

【メキシコ・カナダ関税発動 部品供給網危機「自動車業界に穴」】トランプ米政権は4日、メキシコとカナダからの輸入品への25%の関税を発動し、中国には10%の関税を上乗せしました。中国とカナダは米国産品への報復関税を課すことにしており、世界経済の混乱が懸念されます。とりわけ米国と国境を接するメキシコ、カナダは3カ国で貿易協定を結び、経済的な依存度を深めてきただけに自動車業界をはじめ産業界に動揺が広がっています。

 

 トランプ政権は両国から米国に流れ込む合成麻薬対策の手ぬるさを関税措置発動の理由に挙げますが、特にカナダ経由の合成麻薬は大きな量ではありません。対立を深める中国だけでなく、経済的な結びつきが強いメキシコ、カナダにまで関税を課すトランプ政権の狙いは何なのでしょうか。(1面、総合面)