毎日新聞・3月6日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集局次長・堀雅充

【息子はなぜ津波に飛び込んだのか 両親が絵本に込めた「命」への約束】

 津波に奪われた息子の命を未来に生かしたい。そう願いながら、両親はその後の人生を歩んできました。濁流が間近に迫っても、生きることを最後まで諦めなかった我が子。だから、自分たちも諦めずに体験を伝え続けていこう。その胸には、かつて息子と交わした、ある約束がありました。

 

 両親は東日本大震災後に出会った支援者の協力で、「ふしぎな光のしずく~けんたとの約束~」と題した絵本を出版しました。七十七銀行女川支店の行員で、支店屋上を超える津波の犠牲になった長男(当時25歳)と歩んだ日々をまとめました。被災地を拠点に長年取材を続ける記者が、両親の思いに耳を傾けました。(社会面)