毎日新聞・3月9日付朝刊「今日のイチオシ!」 デジタル編集本部長 柳原美砂子

【未来の大熊に歴史つなぐ 原発事故 あらがう梨農家 学び深めた故郷一変】福島県大熊町の梨農家、鎌田清衛さん(82)は、14年前の福島第1原発事故で自宅からの避難を余儀なくされました。国はこの地域に住宅地や農地の除染作業で出た土などを保管する「中間貯蔵施設」を整備。地域が大切にしてきた神社も、解体される可能性がありました。鎌田さんは町の歴史を書籍にまとめ、神社の保全を国に働きかけます。「過去から受け継いだ土地は、未来からの借り物でしかない」。そう信念を語り、次世代に故郷の歴史を残そうとする鎌田さんの思いに、福島支局の記者が迫りました。(一、三面)