【岐路に立つ復興予算 「費用対効果」巡り波紋も 東日本大震災】
東日本大震災から14年を迎え、被災地に使われる国の復興予算が岐路に立たされています。近年は、東京電力福島第1原発事故で深刻な被害を受けた福島県に集中的に投入されていますが、復興に向けた事業にも「費用対効果」を求める指摘が上がり始めました。
政府は復興計画を5年ごとに区切って施策を進めています。「第2期復興・創生期間」(21~25年度)の累計額は1・6兆円で、うち1・1兆円程度が福島に投じられる予定です。岩手、宮城両県では住宅再建やインフラ整備の大半が完了したとされる一方、福島では原発事故に伴う避難指示が長引いた自治体で人口が激減し、まだ多くの避難者がいます。山間部を中心に、これから除染が始まる地域も残っています。
福島第1原発の周辺自治体では現在、交付金などを原資にした商業施設などの大型開発が進んでいます。復興事業は今後、どこに向かうのでしょうか。政府は26~30年度の復興予算を「第2期」以上とする方針を決定していますが、記者が現場を歩くと、巨額の予算の使途への疑問が、被災地の足元からも聞こえてきました。誰のための復興予算なのか深掘りしました。(1、3面)